episode.05

僕のカマカのおはなし

2年ほど前、何でも良いので電気を使わないアコースティックな楽器を探していまして。楽器の候補は、チェロ、ビオラ、三味線、三線、琴、ウクレレ等々。で、やっぱり野外にも気楽に持ち出せる携行性の良いものが便利っつーことでウクレレをば探すことにしました。

 

デフレスパイラルっちゅーのは怖いものでして。希少な総ハワイアン・コア材で作られたKamaka製ソプラノ・ウクレレ。ハワイの方から購入したんですが、オリジナルケース付きの1940~1950年代っつーヴィンテージにもかかわらず、何とお値段たったの$249ポッキリ!! 約$100の送料入れても¥36,800という破格値でゲッチュー!!(1$ = ?80 当時為替計算)

 

Kamakaは3日ほどで手元に届き、さっそく楽器屋で「初めてのウクレレ」なる教本を買ってきまして。なにせ、ギターと違ってチューニング方法さえわからないんですから。で、さっさとチューニングを済ませ、とりあえず楽譜を見ながら弾いてみました。

 

 

ん……? おやおや~?

 

開放弦のチューニングはバッチリ合わせてあるのに、ものの3フレット目でも音程が狂っちょります。う~~~む、ソプラノ・ウクレレってこんなモンなのかしらん? これでは楽器として成り立ちませんね。だからプロのウクレレアンは、デカいテナーやコンサートタイプを使っているのだろーか? 素人がアレコレ考えていてもラチがあかないので、とりあえず御茶ノ水のウクレレ専門店へ持ち込むことにいたしました。

 

ん~ごもっとも。

 

念のため、新品のKamakaと向かい合わせにしてみたら、フレットのピッチやブリッジの位置もほぼ同じ。ん~~、つーことは弦高の問題か? ギターでは音程を調整する時、フレットの真上で軽く指を当てながら弾くハーモニクス音と、実際に指で押さえた時の音程が同じになるように調整してゆきます。ウクレレは12フレットまでしかないので、12フレットのところでやってみることに。

 

本来2弦の開放弦の音程は「E=ミ」ですから、12フレットを押さえた音も、12フレットのハーモニクス音も同じ音程になっていなければいけません。ところがどっこいウチのKamakaちゅわん。「E=ミ」どころか次のE#も飛び越え F(ファ)近くまで音程が上がっちょります。これが破格値で売られていた理由だったワケですね。何とウチのKamakaちゅわんは音痴だったのです……しくしく。

 

でも、楽器として生まれたからには極力お飾りにはしたくありませんので、何とか対策を考えてみることにしました。「フムフム、2弦、3弦は他の弦より太く、ブリッジのミゾに入りきってないので少し弦高がありますね。ということは、弦高を下げ、さらに弦長も少し長くしてあげれば音程は下がってゆくハズ」。

 

チキチキチキチキ……。

どうしてもブリッジを今風のに換えたくない僕は、おもむろにダイソーで買ったカッターを取り出しまして。

 

カチカリカリカリ……。

 

2弦、3弦のブリッジ部分を1.5mm堀下げ、弦長も3mm長くなるように削り加工しました。何の根拠もない、ただの勘で。でも「飾り物」にする気はさらさらないのです。そして、運命の音程チェック。デジタルチューナーをあてがって、12フレットを押さえてみると……。

 

ピ~~~~~ン。ピ~~~~~ン。
おぉ~~~~~~っビッタンコ~~~っ!!
なんつ~偶然! なんつ~~~~勘のよさ!!

 

愛しの音痴なベイビーは、ダイソーの中国製¥105カッターとほんの数分のカリカリで、そりゃもう海の音が聞こえてくるぐらいの音色で唄い始めました。

 

ポロロロ~~~~~~ン。ポロ~~~ン、ポロ~~~~ン。

 

数十年ぶりに楽器として復活をとげた我が家のベイビーは、感動するほどのメローな音色で、いつまでも、いつまでも唄うことをやめなかったとさ(レパートリーいまだ1曲のみ)。 えがった~~~、ほんとにえがったよ~~。

 

おしまい

 

 

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CHOP STICK CHOPPERS
住所■東京都豊島区西巣鴨2-22-8-1F
電話■03-3910-8065
休日■木曜日
URL■www.zerochop.com

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チョップスティックチョッパーズ

山口和俊 Kazu Yamaguchi

東京の下町、西巣鴨に居を構えるチョッパー屋の主、カズヤマグチ。愛車は30年来の付き合いになる1941ELナックルヘッド。店名のCHOP STICKという名前の由来は日本人に馴染みの深い「箸」から取ったものだ。

 

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