メイン画像

episode.07

WINDING ROAD
写真

極寒の2月中旬、少し予定が空いたので工場から一時間ほどのところにある峠へ走りに行ってきた。道幅も狭くて路面も悪く、タイトコーナーばかりが続くローカルな峠だ。快適なワインディングを楽しめる峠じゃないけど、なんだか懐かしい気分。きっと山に囲まれた地元京都を走っていた頃にどことなく似てるからなんだろう。

 

ひとり思い出に浸りながら見晴らしの良い休憩所に駐輪し、コーヒーを飲んでいる時。パッパッパッパ、パイーン、パイーン、パイーン。カストロ2TSのニオイと共に後方排気の絶滅危惧種が現れた! 随分年季の入ったマシンで、練習に来ているのか? 高校の頃、友達も先輩も周りはみんな乗ってたっけ。「エヌゴ買ったの~」とか「おまえのエヌゴは~」なんて台詞、よく言ってたな。ウカツにもジロジロと見入ってしまった。オーナーは若かった。十代後半、地元の小僧といった感じだ。膝すりパットはベルクロ部分がズタボロでガムテープでグルグルと補強してあった。何と爽やかで、甘酸っぱい光景なんだろう!

 

21世紀に入り、若者のバイク離れが深刻化しているという。1980年代後半、バブル景気の頃と比べると9割減だそうだ。確かにバリ伝に心を震わせ跨がる2ストは当時の若者の自爆装置だったかもしれない。でも「三ナイ運動」に屈せず、峠へ向かうあの頃のバトルスピリッツは忘れたくない! こんなに刺激的で楽しい男の遊びを世の中から消してなるものか……。

 

目の前のワインディングロードを華麗に駆け抜け、パイーンと小僧は走り去った。膝に巻かれたバンクセンサーをズッズズズーと鳴らしながら。その後ろ姿は大変カッコ良く、ヘルメットのシッポも優雅に風になびいていた。ダブダブの革つなぎにチームTeeをレイヤードしたスタイル、まる「ち」ステッカーがキラリ輝く。「小僧、忘れるな、猫耳もマストハブだぞ!」。僕は心から声援を送った。

  • 写真
  • 写真
  • 写真
  • 写真

 

バナー