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episode.08

Molto fumo e poco arrosto.

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Molto fumo e poco arrosto. [伊]
かんばん-だおれ 看板だふれ 【看板倒れ】
うわべだけ立派で実質に欠けること。みかけだおし。

 

かれこれ2~3年前。イタリアで開催された大規模なオートパーツのスワップミートに出向いた。F1レースで有名なイモラサーキットをまるまる使う超ビッグスケール。コースをブラブラ歩きながら珍しい車種や車体、パーツをチェック、それだけで幸せ。ひとつでもパーツを手に取るものなら店の親父から通行人まで、あれやこれや話しかけてくる。何年式の何々の部品だとか、良い状態だとか、こりゃカッコいいぞとか、そんな感じ。言葉は通じなくても、車やバイクに対しての熱い情熱は十分に伝わってくる。レストア大国イタリアではこうやって収集したパーツを使い、自宅の隅で何年もかけコツコツと車やバイクを修復するそう。だからスワップミートには国中の好き者達が互いのレストア情報を交換するため毎回ワンサカ集まってくるらしい……。

 

さて、現在に話を戻そう。僕は毎日インターネットを覗き、業務に必要なパーツを注文する。適合車種や年式だって、ささっと軽くググって世論を確かめる。時短、快適、便利、割安、安心、ゴロウジロ……。インターネットは皆のバイクライフをラクチンにしてくれるツール。でも、なにかが足りない。なにか、違う気がする。

 

現在よりちょっとだけ昔の話。僕がパーツのアレコレを知りたいと思った時は必ず缶コーヒーやセッターのカートンが必要だった。憧れの先輩から話を聞き出す引き換えに、上納金とまでは行かないが必死に気の利いた差し入れを考えたものだ。ナケナシのお金で先輩から譲ってもらったパーツを目の前に、仲間と深夜まで、あーだこーだ言い合いながら取付けた。嬉しかった。楽しかった。興奮した。そして何より、それらは素晴らしくカッコよかった。現代のネット中心バイクライフに明らかに足りない要素……、それは心から心酔できるカッコよさだ!

 

写真心配なのはこれからの二輪業界を担う若い世代、随分二輪離れが深刻化しているよう……。ペラペラの情報源から引き出された、ペラペラのバイクカルチャー論がサーバ上をウヨウヨ漂っている。僕は懐古主義派なのかもしれない。でも当時の流されない情報とそれに付随するパーツ類には温もりが宿っていた。鋳鉄、ステン、チタン、素材に関係なくそれらは本当に暖かく確固たる熱を持っていた。情報社会化の速度は日本もイタリアも然程変わらない。要は根付く心意気を継承する気があるかないかだけ。看板倒れになる前に本当の意味での熱い情熱を大好きな二輪業界に傾ける必要が今こそあるんじゃないか? もしかしたら今こそ反面教師として「Molto fumo e poco arrosto」に真っ向から取り組むべき時期なのかもしれない……。

 

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