メイン画像

episode.01

マン島への想い
写真 写真 写真

──毎年5月の声を聞くと妙に落ち着かなくなって来る。それはマン島への想い。目にも鮮やかな緑、心地よい風、日没が日に日に遅くなり、夜バイクで走っていてもそんなに寒くない感じ……どこからともなく匂って来る甘い花の香り。それはもっと何処までも走れと言っているようだ。

 

マン島に渡るにはフェリーがいい。リバプールの港よりも、さらに北にあるフェイシャムポートから乗船すると、古いかなりいい雰囲気のフェリーに乗る事が出来る。それも午前3時に出航するフェリーがいい。マンチェスターから電車に乗り、イギリスののどかな田園風景を眺めつつ1時間半揺られて夜の10時ぐらいに港に着いて乗船までの間乗り込んで来るバイクを眺めていると幸せな気分になって来る。

 

ナンバープレートを見るとイタリア、フランス、スペイン、ドイツ、オランダと様々。特に多いのがドイツかな。そのうち乗船のアナウンスが流れて来る。大きいバッグを預けて乗り込むと船室はもうライダーでいっぱい。船内には暖かい食べ物もオーダー出来るビッフェ形式のレストランも在り、長い行列が出来ている。もちろんエールもあります。みんな長旅で疲れているんだろうなと思いつつ僕も適当な場所を見つけて早々と横になる。が、興奮してなかなか眠れそうにない。

 

デッキに出て夜風にあたることにした。少し寒いけど気持ちがいい夜だ。夜の闇がゆっくり明けて来る。出航してから1時間半ぐらい、”マン島はまだ見えないのかな” と身を乗り出すと前方の水平線の彼方に小さい島影が見えてきた。周りを見るとすでにたくさんのライダーが甲板に出てまだ見ぬマン島に期待と興奮を、そして夢を抱きながら島影を見ている。いよいよマン島の旅が始まる。

 

バナー