episode.17

スティーブン・タイラー

ミルウォーキーの街はハーレーダビッドソンの110周年のカウントダウンが近づいて来るに従い、ハーレーの数が次第に増えてバイカー達が泊まるホテルの前の道路はバイクで溢れて来た。お昼時のダウンタウンのレストランとかカフェ、パブの前の道路はすぐ満杯。ハーレーダビッドソンミュージアムの前の広大なパーキング(クルマとかバスは道路の反対側の駐車場に止める)も直に満杯になって目の前の道路も両サイド共ハーレーで溢れて来る。道端に座って次から次へと走って来るバイクを眺めてシャッターを切る。陽が沈むまで撮っていたら楽しいだろうな。全部違うんだろうな。1万台走って来たら1万種類のハーレーに逢えるんだろうな。

 

8月の最期の金曜日、ウィスコンシン州の短い夏が終わる頃、ミシガン湖に面した細長いフェスティバルパークの会場には大小5つのライブステージがあり、常に何処からかごきげんなロックのサウンドが聞こえて来る。今夜のビックイベントはエアロスミスのライブだ。

 

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午後5時半にその会場に着いた。エアロスミスのライブは一番大きいMarcus Amphitheaterで行われる。その会場は半円形状でひな壇の観客席がありグーグルの衛星画像でも確認出来る程大きな会場だ。スティーブン・タイラーに逢えるまでまだ2時間はある。D3にワイドレンズを着けてパーク内を散歩する。バーベQチキンを食べてビールでも飲もう。ミラービールの工場が近いので生ビールは新鮮そのもの。ワインでもカクテルでも$5?6あれば何でも飲める。7時に他のメディアの人達とゲート前で待ち合わせをする。続々と観客の人が入って行く。待ちに待ったその瞬間が刻一刻と迫って来る。

 

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皆が揃ったので中に入ろうとすると係の人に止められてしまった。スマホはいいけど大きいカメラはだめだと言われた。事前の話しではOKだったのに。ハーレーダビッドソンジャパンの方が交渉してくれたけどやはりだめだった。メディアセンターに置いてこいと言う。しかたがないので置きに行くと他のカメラマンのカメラが所狭とテーブルの上には置いてあった。両手が手ぶらになると何とも情けない姿。翼をもぎとられた鳥のようだ。そのまま中に入って行くとすでに満席状態。最初にハーレーダビッドソンファミリーの挨拶があり、暗くなってステージの3?4カ所に大きなモニターからかなりイメージされたビデオが流れて来た。次の瞬間大きなサウンドと供にエアロスミスのメンバーがそこにいた。いきなりドーンと来たのでスタンドの全員がスタンディング状態になった。

 

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それからの90分近くは95%の人が立っていたね。こんなに長い時間興奮したのは初めてかも知れない。スティーブン・タイラーのきれいなロングドレスの衣装と大きな仕草。おもいっきりマイクを振り回したりピアノを弾いたりそして次の瞬間ピアノの上でおもいっきり歌ったり、またあのロンゲがかっこいい。帰国したらその勢いでAEROSMITHのO,YEAH ULTIMATE(2枚組)を買ったよ。今、中に入っている「What It Takes」を聴きながら書いている。スティーブン・タイラーが絶叫しながらロンゲを掻き揚げる仕草が蘇って来る。残念ながら写真は一枚も撮れなかったけれどそのぶん100%、いや200%集中して観て、聴いて、燃えて、感じた。

 

翌日は結構朝早く目が覚める。朝食にスクランブルエッグを食べていたら頭の中でスティーブン・タイラーが歌っていた。今日は待ちに待ったパレードランだ。8時半には皆と一緒にホテルを出て歩いて行くと子供連れの家族が大きな紙にRIDE TO LIVE, LIVE TO RIDE。BADGER HERITAGE(Badgerはアナグマ、ウイスコンシン州の愛称、Heritageは継承物、後世に伝えるべき物)と歓迎のことばを書てる人々に出会った。僕は今ここにいられる事に感謝して皆のいい笑顔を撮り続けたいと思った。

 

ウィスコンシン州の冬は寒いと聴いていたが今パソコンでWeather.comを開いて見るとミルウォーキーは明日、Heavy snow Hi?10°Lo ?17°と予報している。日本で言えば札幌と同じ緯度にある寒いミルウォーキーの地で111年も前にモーターサイクルが誕生した事に一言、「ありがとう」。

 

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写真師

磯部 孝夫

HBJ創刊以来のメインカメラマン磯部孝夫。マン島取材では毎年10日間以上も現地の友人宅にホームステイするという、まさに里帰り。1981年より通うデイトナではメインストリートの混沌とした魅力に魅せられたという1949年生まれの御年62才。
URL■www.isobetakao.com