episode.19

DAYTONA/中編

成田~デトロイト?アトランタと乗り換えて時計の時間を14時間戻す。夜と昼が完全に逆転している。適度な緊張感を伴っているので頭は冴えているけど体が何となく疲れている。飛行機が乗り換える度に小さくなってアトランタからデイトナビーチまでのおよそ1時間20分のフライトは3人一3人のシートになった。デイトナビーチ空港に着くのは夜の10時から12時位。最終便に近いので空港はシーンと静まり返っている。広い通路を歩くとブーツの音だけがカツンカツンと響いて来る。預けた荷物を受け取るターンテーブルで待っている人の数もまばらで僕以外は当然の事ながら皆アメリカ人。みんな大きいな。荷物を待っている間ターンテーブルの前で煙草を吸い始める人もいる(まだ1980年代)。今ではこんなところでと思うかもしれないけれど、そのころはそれが普通だった。僕もその頃はマルボロの赤箱を少し吸っていた。

 

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喉が渇いたので早速、$1札を出して自動販売機でコカコーラを買った。1本が75セントの時はクォーター(25セント)コインが3枚手元にあれば良いが、$1札の場合おつりのクォーターが出てこない自動販売機が非常に多かったのを覚えている。日本円の120円位に相当するお金が今でも$1札として出回っているのが素晴らしい。冷たいボトルを握りしめて一口飲むとアメリカにやっと来たなと感じた。

 

荷物を受け取ってレンタカーのカウンターまで歩いて行くともう誰も並んでいない。どうやら僕を待っていた雰囲気が有る。3カ所にサインをして鍵を渡されてFの28番に車が有ると言われて少し暗い駐車場を歩いて行く。少しばかりの緊張感と開放感が心と体を支配する。それとなく周りに人がいないかチェックをしてそれから必要な物以外は全てトランクに入れる事にしている。外から見たときに何も持っていないように見せるためにも。

 

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アメリカで走っている車は少し前までは鍵が必ず3個あってドアーキーとエンジンキーともう一つなんとトランク専用のキーが有る。これは盗難防止のために必要なシステムだと思う。ドアを閉めてエンジンキーを右に回すと必ずと言って良い程エアコンの冷たい風が吹いて来る。昼間は結構暑いのかなと想像をする。FMラジオのスイッチを入れる。なんとチャンネルの多い事、嬉しくなってしまう。チャンネルを70年代にあわせる。道路に出て右折をするときウインカーのレバーのつもりでワイパーが動いたりすると誰も見ていないのにあわてたりする。ゆっくり落ち着いて。

 

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最初の12年間ぐらいは宿泊するモーテルは予約した事が無かった。チェーン店のモーテルではなくて古くから地元にあって平屋建てでコの字形をして明るい色に塗ってあるモーテルを探すようにしている。デイトナの街の中をゆっくりと車で流して赤いネオンサインで「VACANCIES」と書いてあるモーテルを探す。デイトナバイクウィークの前の週なのでまだ結構空いている。早速一件のモーテルを見つけてOFFICEの外にある備え付けのベルを強く押す。暫くすると「今しがた眠ったばかりなのになんで起こすんだよ」みたいな感じで奥の方から60歳代ぐらいの男の人が出てきて少しめんどくさそうに対応する。10日間で$460か、まあ悪くない。車は前に置けるし部屋はまあまあか、すでにチョッパーも何台か止まっている。エアコンの音は少しうるさいけどOFFICEにはいつでも飲めるコーヒーがある。今年はここで10日間お世話になろう。

 

後編へ続く。

 

 

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写真師

磯部 孝夫

HBJ創刊以来のメインカメラマン磯部孝夫。マン島取材では毎年10日間以上も現地の友人宅にホームステイするという、まさに里帰り。1981年より通うデイトナではメインストリートの混沌とした魅力に魅せられたという1949年生まれの御年62才。
URL■www.isobetakao.com