episode.160 ドラッグバー熟考/後編

ココナッツカレーと
ケンタウロスの狭間

──試作品のドラッグバーを確認するために水戸のロナーセイジへと向かった、というところまでが前回のお話。後編ではそのドラッグバーについての印象と、今後のプランについて話そう。

 

店に到着するやいなや、ドラッグバーを確認する。確かにスタイリッシュであるが、ドラッグバーというよりも、絞り具合を考えたらティラーバーのような印象が強い。跨ってじっくりとポジションを確認してみる。やはりこのポジションはティラーバーに近い。そもそもこのパンヘッドのコンセプトは「ディガーの繊細さとドラッグスターの力強さの融合」であったので、ディガー定番のハンドルであるティラーバーという選択肢はコンセプトに沿ったものと言える。しかもこの試作品はドラッグバーのフォルムでティラーバーのような操作感というまさにコンセプト通りのハンドルバーである。マシンとのマッチングも申し分なし。それはそうだ。コンセプトにブレはないのだから。

 

しかし、しかしである。僕はドラッグバーのポジションが好きなのだ。たしかにコンセプトはディガーとドラッグスターの融合だが、ハンドルバーに関してはドラッグスターの血筋をより多く受け継ぐことを僕は希望する。言うなれば、生まれたばかりの赤ちゃんを見て「目は母親似だが鼻は父親によく似ている」などと各部位ごとの血筋を検証するようなものであり、例えば最初はココナッツの風味が強いが、あとから辛さがやっくるカレーの成分を分析するようなものでもあり、さらに言えばギリシャ神話に出てくる上半身が人間で下半身が馬のケンタウロスを見て、あなたは人間なのか馬なのかと本人に質問するようなものである。

 

 

とにかく僕はドラッグバーが好きなのだ。愛しているといってもいい。そこで試しに以前のハンドルバーのベント位置をフロントフォークの幅に合わせオフセットして取り付けてみる。より具体的なイメージを持てるようグリップとブレーキレバーを仮に装着する。上のメインカットがその写真である。これだ、これが僕のケンタウロスだ。ドラッグバーのベント角は変えることなく、その幅をフロントフォークのセンターに合わせることで理想のドラッグバーにかなり近づいた。あとはエンド部をカットしてハンドル幅を詰めるかどうかが問題だ。詰めるとしても1cm、それ以上はバランスが崩れてしまう。しかしこのままでも十分にスタイリッショである。

 

さてどうしたものか。跨ってポジションを確認したり、正面から見たり、後ろから見たり、斜めから眺めてみたりと悩むこと数時間。そして……

 

ここで一句。

「刻みますが、まさかの5ミリで お願いします」
少し字余り。

 

取材協力

ロナーセイジ
住所■茨城県小美玉市大笹470-12
電話■0299-48-3787
休日■火曜日


ホットバイクジャパン.com編集部

成田恒一 Kouichi Narita

京都生まれの京都育ち、生粋の京都人という妙なプライドがチャームポイント。HBJ編集部員になり13年目(途中ブランクあり)にしてHBJ.comを立ち上げる。東京に来て25年以上たつも、未だ京都弁が抜けない。趣味は物欲。趣味を超えてその物欲で生きていると言えなくもない、もはやライフワーク。ちなみに特技も物欲である。そして2005年、勢い余って67年式カマロを購入。目下のターゲットはD5。