episode.172 爪痕

趣味が交通事故だと言われている
僕の小さな小さなこだわり

悪夢の事故から早2年。できることは自分でやるをモットーに、マフラーサイドへの転倒でトリプルツリーの上下とヘッドライトリングに付いた傷の修正を中村さんの作業の邪魔にならないよう行わせていただいた。ヘッドライトはMCD製の砲弾型ライトで素材はステンレス、ヘラ絞りで製作されている。リングに付いた傷はだいたい5cmくらいの線状で、そんなに深くはなかったので#240の耐水ペーパーで磨きはじめた。ステンレスは硬く、なかなか手強かったが約1時間ほど磨き込んでほぼ傷を消し去り、そのあと#600、#1500 と磨き続け、最後に研磨剤で仕上げて作業完了。

 

 

続いてトリプルツリーの傷もリングと同じように#240の耐水ペーパーを使って作業開始。こちらはアルミなので30分も磨けば傷はほとんど見えなくなり、そのあと番手を上げて磨き込み、研磨剤でフィニッシュ。世界一美しいと自負しているセリアーニのトリプルツリーが見事に蘇った。

 

ここで僕のこだわりについて少しだけお話させていただきたい。趣味が交通事故だと言われている僕の小さな小さなこだわり。それは「事故で付いた傷は完全には消し去らない」といういささか変わったものだ。これは事故の爪痕を残すことによってその負の歴史を受け入れ、これから先もこのパンヘッドと付き合い続けていくという僕の明確な意思表示である。もちろん自分への戒めという意味合いも含んでいる。ほんの2?3時間の作業であったが、黙々と磨き込んでいると、パンヘッドとのいろんなことが思い出される。ちょっとここで書くのは恥ずかしいような蜜月の思い出まで……。すごく充実した時間を過ごすことができた。中村さん、本当にありがとうございました。あとは、サクサクッとお願いします。

 

 

ここで一句。

「爪痕残し あばたもえくぼ 愛おしい」
少し字余り。

 

取材協力

ロナーセイジ
住所■茨城県小美玉市大笹470-12
電話■0299-48-3787
休日■火曜日


ホットバイクジャパン.com編集部

成田恒一 Kouichi Narita

京都生まれの京都育ち、生粋の京都人という妙なプライドがチャームポイント。HBJ編集部員になり13年目(途中ブランクあり)にしてHBJ.comを立ち上げる。東京に来て25年以上たつも、未だ京都弁が抜けない。趣味は物欲。趣味を超えてその物欲で生きていると言えなくもない、もはやライフワーク。ちなみに特技も物欲である。そして2005年、勢い余って67年式カマロを購入。目下のターゲットはD5。