episode.177 改造愛

この車両には、
愛が溢れている

今期ニューオーダーチョッパーショーでHBJピックを獲得したACE MOTORCYCLEの1955 KH。200台近くの車両が展示される会場内において、ひと際輝きを放っていた……と個人的には思っている。もちろん輝きと言っても物理的に光を反射する、いわゆるピカピカと光る輝きのことではない。ご覧のように塗装はマットな質感だし、エンジンが磨き上げられているわけでもない。しかし僕にとっては眩しいくらいの輝きを放つ無二の車両に感じられたし、惚れ惚れするような一台であった。

 

ACEの十八番であるコンパクト、かつタイトなスタイリングはもちろんのこと、この車両には圧倒的なまでの美が宿っている。まずはKモーター。ハーレーの歴代エンジンの中でも群を抜くコンパクトなモーターである。丸みを帯びたシリンダーとシャープなヘッドカバーのバランスが絶妙。プライマリーサイドに移されたリンカートがエンジンの造形をさらに引き立てている。

 

 

 

フロントフォークはセリアーニの35mm GPフォーク。ファクトリーレーサーXR750にも純正採用された名品だ。トリプルツリーの美しさは宇宙一だと個人的には思っている。またフューエルタンクの造形がイイ。2.25ガロンのスポーツスタータンクと前出のXR750のタンクを掛け合わせたようなフォルムはACEならでは。斜め上から見たカタチが最高だ。オレンジ&ブラック&ホワイトのワークスカラーのデザインも洒落ている。やり過ぎないこのサジ加減がビルダー徳山さんの美徳と言える。

徳山さんはACEでの車両製作の一連の作業をカスタムと呼ばず、あえて言うなら改造だと話す。この車両には作り手の狂おしいまでの思い、改造愛が溢れている。

 

ここで一句。
「エースとは カスタムを超えた 改造屋」
少し字余り。

 


ホットバイクジャパン.com編集部

成田恒一 Kouichi Narita

京都生まれの京都育ち、生粋の京都人という妙なプライドがチャームポイント。HBJ編集部員になり13年目(途中ブランクあり)にしてHBJ.comを立ち上げる。東京に来て25年以上たつも、未だ京都弁が抜けない。趣味は物欲。趣味を超えてその物欲で生きていると言えなくもない、もはやライフワーク。ちなみに特技も物欲である。そして2005年、勢い余って67年式カマロを購入。目下のターゲットはD5。