episode.219 異音

耳をすませば……

──トラブルなんてものは突然やってくる。いや正確にはまだトラブルにはなっていないので、その前兆とでも言えばいいのだろうか。僕にとってそれはカマロからのSignとも取れる出来事だった。

ある日いつものように気持ちよくカマロで走っていると、インパネのスピードメーターあたりから「クルクルクル?♪」と聞きなれない音が聞こえてきた。しばらくすると、その音は消えてしまったのだが、メーターのギアかなにかが鳴っているのかと思い、そんな緊急を要するような感じもしなかったのでしばらく様子をみることにした。

それから少したったある日、またスピードメーターから異音が聞こえてきた。今度は「カラカラカラ?♪」というなにかが空回りしているような感じの音がする。やっぱり犯人はメーターのギアだな、とメーターの針を睨みつけているとある法則に気がついた。アクセルを踏み込み、加速するときにどうやら音が聞こえてくるようだ。相変わらず切羽詰まった緊張感のようなものはその音から感じられなかったので、そのうちインパネをバラしてメーターを確認してみるか、などと思いながらまたしばらく乗っていた。

そんなある日、アクセルを踏み込むとまたスピードメーターのあたりから異音が聞こえてきた。「クァラクァラクァラ?」。心なしか音が変化したような感じがする。いい方向というよりは、少し悪い方向に。窓を開けるとその音はまた趣きを変えて「ガラガラガラ?」と少し緊張感を持った音に変化した。アクセルを戻すとその音は消えてしまうのだが、どうやらメーターから聞こえてくるのではなく、その奥のエンジンから聞こえてくるような気がする。

──マズいな。

すぐにクルマを路肩に止め、ボンネットを開けキャブレターのスロットルを煽ってみる。「グワァラグワァラグワァラ?」とあまり歓迎できない好戦的な異音が、エンジンとミッションの繋ぎ目あたりから聞こえてくる。

これは少し面倒なことになりそうだ……

ここで一句。
「転ばぬ先の 音に敏感 これ大事」
少し字余り。


ホットバイクジャパン.com編集部

成田恒一 Kouichi Narita

京都生まれの京都育ち、生粋の京都人という妙なプライドがチャームポイント。HBJ編集部員になり13年目(途中ブランクあり)にしてHBJ.comを立ち上げる。東京に来て25年以上たつも、未だ京都弁が抜けない。趣味は物欲。趣味を超えてその物欲で生きていると言えなくもない、もはやライフワーク。ちなみに特技も物欲である。そして2005年、勢い余って67年式カマロを購入。目下のターゲットはD5。