episode.240 神の手とネコの歯磨き

タンクのキズなどというヤボなものはなかったことにしよう

スロットルステーが完成し、タイトなドラッグバーも仕上がった。あとやっかいなフューエルタンクのキズも見事に修復された。タンクの右サイド前方に入った米粒ほどの小さな小さなキズふたつ。幸いにも複雑なグラフィックの場所ではなく、単色の部分だったので修正は簡単かと思えば然にあらず。ブラックのベースにキャンディレッドを吹き付け、グラデーションフェイドで濃淡を付けて立体感を演出しているパートなので、この色合わせに関してもやはり一筋縄ではいかない。

剥がれてしまった塗膜の段差をパテ盛りで埋め、それから色入れを行うわけだが、極めて繊細な作業である。それは針の穴を通すような高度なテクニックを要する作業であり、言うなればネコの爪切り、いやネコの歯磨きに匹敵するほど難易度の高いオペレーションが要求されることになる。ロナーセイジの中村さんがネコの扱いに長けているかどうかは別にして、とにかくこの仕上がりは見事としか言いようがない。タンクのキズなどというものは完全になかったことになっている。まさに「神の手」とはこのことか……。

転倒で曲がってしまったハンドルストッパーの修正も完了した。あとはバッテリーを繋いで、ちょちょちょいとキャブのセッティングを済ませれば完成だ。これって本当にできたんじゃないの!?

ここで一句。
「できたのか? 完成なのか? ほんとうに?」
少し字余り。

取材協力
ロナーセイジ
住所■茨城県小美玉市大笹470-12
電話■0299-48-3787


ホットバイクジャパン.com編集部

成田恒一 Kouichi Narita

京都生まれの京都育ち、生粋の京都人という妙なプライドがチャームポイント。HBJ編集部員になり13年目(途中ブランクあり)にしてHBJ.comを立ち上げる。東京に来て25年以上たつも、未だ京都弁が抜けない。趣味は物欲。趣味を超えてその物欲で生きていると言えなくもない、もはやライフワーク。ちなみに特技も物欲である。そして2005年、勢い余って67年式カマロを購入。目下のターゲットはD5。