episode.245 超現実主義

想像力の解放と合理主義への反逆

──抜けるような冬空のもと、ガレージからパンヘッドを引っぱり出す。フューエルキャップに写り込む凝縮された太陽が今日という日を祝福してくれているかのよう。太陽のパワーは無限大だ。

ガソリンは昨日の夜に入れたばかりだから満タンのはず。空キックで生ガスをキャブレターから燃焼室に送り込み、イグニッションオンでキックペダルに体重を載せイッキに踏み下ろす。いつもなら3回目のキックで火が入るはずだが、昨日からの急激な冷え込みにより、さらに数回キックを踏み込んでようやくパンヘッドのお目覚めだ。

まだアイドリングも落ち着かないが、じっくり暖機というのも性に合わない。暖機は走りながらすればいい。そうそうにギアを1速に放り込み、ゆっくりと走り出す。幹線道路の渋滞を避け、勝手知ったる裏道を進む。開店前の小さなスーパー、小学校、工事中のマンションを過ぎたあたりで暖機は完了。通学中の小学生や、自転車のサラリーマンを横目にパンヘッドで走り抜ける。

渋滞をやり過ごして幹線道路に滑り込むと、すぐ後ろでマナーの悪いタクシーに腹を立てた気の短いトラックがクラクションをけたたましく鳴らし立てている。

──やれやれ、朝から騒々しいにもほどがある。

トラブルに巻き込まれるのはご免だ。ミラー越しにその2台の挙動を確認し、前方の視界が開けたところで勢いよく加速。この先の交差点を過ぎればすぐにインターが見えてくる……。

さて。今日はどこまで走ろうか?

ここで一句。
「妄想も とことんやれば 超現実」
少し字余り。


ホットバイクジャパン.com編集部

成田恒一 Kouichi Narita

京都生まれの京都育ち、生粋の京都人という妙なプライドがチャームポイント。HBJ編集部員になり13年目(途中ブランクあり)にしてHBJ.comを立ち上げる。東京に来て25年以上たつも、未だ京都弁が抜けない。趣味は物欲。趣味を超えてその物欲で生きていると言えなくもない、もはやライフワーク。ちなみに特技も物欲である。そして2005年、勢い余って67年式カマロを購入。目下のターゲットはD5。