EPISODE.255 学ぶべきこと

なにかを手に入れるためには、なにかを失わなければならない

──突然だが、ハーレーの嫌いなところについて考えてみる。いや、そこはもっと限定的に僕のパンヘッドの嫌いなところについて考えてみることにしよう。もしかしたら逆説的にそこからなにか学べるものがあるかもしれないし、少しばかりの教訓のようなものが得られるかもしれない。まずは思いつく限り羅列してみる。

ガソリンが5Lしか入らない。荷物が詰めない。ブレーキが効かない。キックが重い。エンジン、ミッションオイルが滲む。チェーンオイルが飛ぶ。ミラーが見づらい。スピードが出ない。リジッドのハードな乗り味。ライトが暗い。ハンドルの切れ角が少ない。Uターンしづらい。フロントタイヤが雨を巻き上げる。家の前でエンジンを掛けるのは気が引ける。エンジンを掛けたまま帰宅するのも気が引ける……。キリがないのでこの辺りでやめておこう。

僕にとってこのパンヘッドは世界最高のバイクだと自負しているわけだが、こうして改めて嫌いなポイントを挙げてみると、次から次に出るわ出るわ。100パーセントを目指して完璧に作り込んだはずがこの結果。これは意外な発見だ。

しかし考えてみれば、古いバイクの宿命的な欠点や、スタイルを追求するがゆえの反作用的な要因がほとんどであることに気づく。だったらオイルが漏れることなんてなく、快適な乗り味の最新モデルにすればいいし、ミラーが見づらければ大きなミラーに交換すればいい。雨の巻き上げを防ぐにはフロントフェンダーを付ければいいだけだし、ガソリン容量が少ないなら大きなタンクを付ければいい。

つまりこれらのネガディブなポイントの裏返しは、すべて僕のこだわりに帰結する。なにかを手に入れるためには、なにかを失わなければならない。相反するすべてを手に入れることなんてできっこない。そうして常に選択を迫られることになるわけだ。

ハーレーは僕にいろいろなことを教えてくれる。

ここで一句。
「なにごとからも 学ぶこころを 忘れずに」
少し字余り。


ホットバイクジャパン.com編集部

成田恒一 Kouichi Narita

京都生まれの京都育ち、生粋の京都人という妙なプライドがチャームポイント。HBJ編集部員になり13年目(途中ブランクあり)にしてHBJ.comを立ち上げる。東京に来て25年以上たつも、未だ京都弁が抜けない。趣味は物欲。趣味を超えてその物欲で生きていると言えなくもない、もはやライフワーク。ちなみに特技も物欲である。そして2005年、勢い余って67年式カマロを購入。目下のターゲットはD5。