EPISODE.256 少しだけ無理をする

乗り手が加わってこそカスタムマシンは完成する

──突然だが、ハーレーのポジションついて考えてみる。いや、そこはもっと限定的に僕のパンヘッドのポジションついて考えてみることにしよう。もしかしたら逆説的にそこからなにか学べるものがあるかもしれないし、少しばかりの教訓のようなものが得られるかもしれない。

パンヘッドのポジションにはかなりこだわった。もちろんマシンのスタイリングやディテイル、そして機能性においてもこだわらなかった点はないというくらい、隅から隅まで作り込んだのだが、とくにポジションについては徹底的にこだわった。ハンドル形状にいたっては、それこそミリ単位で何度も微調整を施し決めていった。

乗り手が加わってこそカスタムマシンは完成する。

ロナーセイジの中村さんと僕のこだわりはこの一点に尽きる。バイクと人のバランス。つまりポジションがマシンの完成度を大きく左右するという考えのもとハンドル、シート、ステップ位置などを調整していった。

コンセプトはこうだ。少し無理するくらいのタイトなポジション。この「少し無理をする」というところが極めて重要で、大きく無理をしたポジションではそもそも危険だし、楽なポジションでは緊張感がなくマシンとの一体感も望めない。そこで少し無理をすることで生まれるほどよい緊張感とマシンとの一体感を高めるタイトなポジションを理想に掲げて各部を調整し、今のポジションにいたった。

少しだけ無理をする。これは日々の生活においてもとても重要で、大きな無理では長く続かないし、体を壊してしまうかもしれない。しかし楽をしていては人として成長することなんてできないだろう。自分の可能性を信じ、日々成長していくためには無理をすることも必要だ。しかし少しだけ、少しだけ。

ハーレーは僕にいろいろなことを教えてくれる。

ここで一句。
「わずかばかりの 無理が生み出す 可能性」
少し字余り。


ホットバイクジャパン.com編集部

成田恒一 Kouichi Narita

京都生まれの京都育ち、生粋の京都人という妙なプライドがチャームポイント。HBJ編集部員になり13年目(途中ブランクあり)にしてHBJ.comを立ち上げる。東京に来て20年近く経つも、未だ京都弁が抜けない。趣味は物欲。趣味を超えてその物欲で生きていると言えなくもない、もはやライフワーク。ちなみに特技も物欲である。そして2005年、勢い余って67年式カマロを購入。目下のターゲットはD4S。