EPISODE.259.1.2 あとがきのようなもの/破

このパンヘッドはひと筋縄ではいかないということか、神様も手厳しい

キックのギア抜けで右足のふくらはぎを痛めてしまい、とてもキックが踏める状態ではなかったが、どうしてもパンヘッドの試乗を諦めることができず、中村さんにエンジンをかけていただき店の周りを少しだけ走らせてもらった。右足でブレーキは踏めたのでなんとか運転はできたのだが、エンストしたら自力でエンジンをかけることができないので、なかなか緊張感のある試乗だった。それでも復活したパンヘッドの乗り味をほんの少しだけ堪能することができた。

そのあと、ふくらはぎの痛みはますます増し、カマロを運転して東京まで帰れるか不安だったが、どうにか安全運転で家まで辿り着くことができた。これは完全に肉離れだろう。翌日、かかりつけの鍼灸院で治療をおこなってもらい少し痛みは収まったが、まともに歩けるようになるにはだいたい三週間くらいはかかるだろうと先生から言われた。

せっかくパンヘッドが仕上がったというのにキックで肉離れとは……。悔しいやら情けないやら腹立たしいやら恥ずかしいやら寂しいやら芳しいやら可愛らしいやら雲行きが怪しいやら、なんとも奇々怪々な感情がとめどなく湧いてくる。本当にこのパンヘッドはひと筋縄ではいかないということなんだろう。神様も手厳しい。

それからあまり効果はないと知りつつも毎日湿布を貼り、肉離れ用のサポーターを買ってしばらく大人しく過ごしていたらなんとか普通に歩けるようになってきた。ふくらはぎに筋肉の張りのようなものを感じるのだが、どうにかキックを踏めそうだ。そこで約三週間後の11月末に再びロナーセイジを訪れることにした。ふくらはぎにはサポーターを巻き、足首を守る意味でウエスコを履いて準備万端。もちろん入念にストレッチをおこない、まずは軽く空キックを試みる。よし、大丈夫。これならいける。ギア抜けには細心の注意を払い、76%くらいの力で本キック。

──ズドドーンッ!

いや違うな。

──パパパーンッ!

これも違うな。

──ズパパーンッ!

これも違うか。いや擬音なんてどうでもいい。とにかく無事にエンジン始動。多少ふくらはぎに違和感を感じるが痛みはない。しばらく暖気をおこない、エンジンが落ち着いたところで一旦ストップ。ヘルメットとグローブを身につけ、今度は全体重をのせてイグニッションオンで本キック。一発でエンジンは始動したが、一瞬ふくらはぎに痛みが走った。少し嫌な予感がしたのだが、そのまま30分ほど試乗に出かけた。途中ガソリンスタンドに寄りエンジンを止めてキックを踏んだとき、またふくらはぎが少し痛んだのが気になったのだが、店に戻りバイクから降りて右足をついたら今度は激痛が走った。

嘘だろ。

またやってしまったのか。

時間がたつにつれ、ふくらはぎはどんどん腫れ上がり、まったく歩けなくなってきた。ギア抜けのときよりも明らかに痛みは増している。やはり完治していなかったということか。しかもさらに状況は悪化している。まさか二度目の肉離れとは。まったくなにやってるんだか。

ここで一句。
「再びの 肉離れとは これ如何に」


ホットバイクジャパン.com編集部

成田恒一 Kouichi Narita

京都生まれの京都育ち、生粋の京都人という妙なプライドがチャームポイント。HBJ編集部員になり13年目(途中ブランクあり)にしてHBJ.comを立ち上げる。東京に来て25年以上たつも、未だ京都弁が抜けない。趣味は物欲。趣味を超えてその物欲で生きていると言えなくもない、もはやライフワーク。ちなみに特技も物欲である。そして2005年、勢い余って67年式カマロを購入。目下のターゲットはD5。