episode 65 惑星直列的奇跡的確立

赤いソフテイルと
フリルのエプロン

プロモデルでハーレー乗り、そしてパン教室まで主宰するという惑星直列的奇跡的組み合わせの顔を持つ彼女。

 

真っ赤なソフテイルに真っ赤なダブルのライダース。そしてヘルメットもお揃いでペイントされている。

今月更新の “Girls Harley #09″で登場いただいた佐伯 友さん。昨年秋にお台場で開催されたクールブレイカー13thの駐車場で、真っ赤なソフテイルに乗り会場をあとにしようとする彼女を見かけ、とっさに全力疾走。ハァハァと息を切らしながら駆け寄る不審極まりない僕の唐突な取材依頼にもかかわらず快諾いただき、今回の企画が実現した。フットワークが軽いことと、行動力があること。あと少しばかり足が速ければ、編集者としてなんとかやっていけるものだ。

 

もう10年以上の付き合いとなる彼女の愛車は1998年式のFXSTC。とは言っても、ほぼ原形を留めていないフルカスタム。エクステリアから足周りに至るまで徹底的に手が入れられた車両であるが、中でも彼女のお気に入りはワイドなストレッチタンクだという。そしてこのキャンディレッドのカスタムペイント。タンク、フェンダーはもちろん、ティアドロップ型のエアクリーナー&フロントスポイラーまで同ペイントが施されている。このフルカスタムとお揃いのヘルメット&真っ赤なダブルのライダースという出で立ちで走り去る彼女のインパクトたるや……。

 

撮影を終え、インタビューを行っているときに仕事の話しになり、彼女の本業がモーターショーのコンパニオンなどをこなすプロのモデルだと知った。どうりで撮影時の自然な表情や立ち振る舞いが美しかったわけだ。まさかプロのモデルさんだったとは……失礼しました。さらに自宅を使ったパン教室を主宰しているという彼女。プロのモデルで10年来のハーレー乗り、しかも愛車は真っ赤なソフテイルのフルカスタム。

真っ赤なライダースはバイクに乗るときの彼女の勝負服。もちろん、ライダースにはフリルは付いていない。

そしてパン教室の先生という顔も持つ彼女。おそらくこの組み合わせは、世界的に見ても極めて稀なものと言えるはず。たとえるなら、惑星直列的奇跡的確立と言っても差し支えないだろう。

 

ここでパン教室の件で撮影こぼれ話をひとつ。取材当日、ひょんなことから彼女がパン教室で着けているエプロンの話しになった。彼女の「エプロンを着けてパン作りを教えているんですよ……」と、こんな言葉がたしかきっかけだったと記憶している。それはとても自然なことである。この世の中にエプロンを着けていないパン教室の講師などは存在しない。なんといってもそれはパン教室なのだから。後日、深夜に原稿を書いているとき、なぜが彼女のエプロンのことが急激に気になりはじめた。

 

 

──そのエプロンにはフリルが付いているのだろうか?

 

僕は取り立ててエプロンにすごく興味があるわけでもなく、特別な思い入れがあるわけでもない。もちろんフリルにも。しかしどうしてもエプロンのことが気になり原稿がまったく進まなくなった。それは本人の意思とは一切関係のないところで無条理に巻き込まれてしまう交通事故のようなものだった。

 

そこで彼女に電話して思い切って聞いてみた。


「とても大切な質問があります。この問題をクリアにしないことには今回の原稿を完成させることができません。もう後にも先にも進めない深刻な状況に陥っています。だから教えてください。佐伯さんのエプロンにフリルは付いていますか?」

 

「えっ!? フリル……ですか? 付いてますよ、エプロンはたくさん持っていますから。それがなにか?」


「ありがとうございます。すべての謎は解けました」

 

ここで一句。


「なにごとも 気になることは 聞いてみよう」


少し字余り。

 

Girls Harley #09 佐伯 友×1998 FXSTC