episode 70 風に吹かれて #03

こころゆたかに暮らしていくためには、
パンヘッドは僕の人生において欠かすことのできないものだ

風に吹かれて考えた。

 

僕がハーレーダビッドソンに乗る意味を……。

 

──事故に遭った。それはよくある交通事故だった。

 

3月8日の朝。取材打ち合わせのため、自宅から編集部へと向かう幹線道路をパンヘッドで逆方向へと向かっていた。いつもの道だが逆方向に走っているため、少し見慣れない光景が続いている。エンジンの暖気さえまだ終えていなかったので、ゆったりとしたペースで流していた。家を出て5分ほどであろうか、目の前の青信号に差し掛かろうとしたその瞬間、左の脇道から突然ミニバンが飛び出してきた。その車は幹線道路への合流ではなく、反対車線の脇道に入ろうとして道路を横断。僕は目の前を完全に塞がれた状態で、急ブレーキをかけたもののリアタイヤがロックし、横滑り状態で車の右前方に激突して反対車線の歩道に飛ばされた。

 

その車が幹線道路への合流であったならば、とっさに対向車が来ないことを確認できたので、反対車線に逃げることもできただろう。しかし道路横断とは……。体中の激痛と憤りをこらえ、なんとかパンヘッドを引き起こして路肩に寄せた。その後、救急車で病院に運ばれたものの大事にはいたらなかった。

 

リアタイヤがロックして横滑り状態のときにとっさに考えた。過去に大きな事故を2度も経験している身としてオートバイに乗ることは、正直もう止めた方がいいんじゃないかと……。事故を引き寄せてしまうという、あまりあり難くない特殊な能力が僕には備わっているようだ。やれやれ、年はじめに厄払いにも行ったんだか……。

 

しかしごくごく一部では意味深すぎると波紋を呼んだ、風に吹かれて#01&#02で現実逃避ならぬ、ハーレーダビッドソンに乗る意味を再確認し、気持ちの整理も付いた。こころゆたかに暮らしていくために、このパンヘッドは僕の人生において欠かすことのできないものだ。

 

ここで一句。

 

「交通事故 忘れたころに やってくる」

 

少し字余り。